コザ十字路は民謡ファンのクロス・ロード?! 【島唄スナック・花ぬ島】

続いては、国道330号線を胡屋十字路から具志川方面へ車で5分ほど移動。コザ十字路近くにある島唄スナック「花ぬ島」にレッツゴー!です。
ここは、ダンディなたたずまいと味わい深い唄声で、県内の民謡ファン(特に女性)からダントツの人気を誇る大ベテラン、神谷幸一さんのお店。相方を務める玉城一美さんは、先の我如古より子さん同様、坂本龍一氏のワールドツアーに同行した経験も持つ実力派です。

この2人を中心にしたステージが夜更けまでたっぷり楽しめるこの店は、地元の民謡ファンにとっては格好の遊び場となっているようで、1時過ぎに突入した店内の客層は、ほぼ100%ウチナーンチュで占められている様子。それが証拠に、ステージで曲の解説をしていた神谷さんのMCもウチナーグチオンリーでしたが、目をぱちくりさせている取材陣を認めるや、神谷さんすかさずヤマトグチで「あんたたちヤマトンチュね? この曲の意味わかる? わからない? じゃあ説明しようね」と畳み掛けまくり。即座に取材陣をその場の雰囲気の中に引き込んでくれました。

その後も、お客さん一人一人の名前を聞き出して「十九の春」の歌詞に当てはめながら歌ったり、客席とのやりとりからすかさず新しい歌詞(それもちょっとエッチなもの(笑))をひねり出したり、かと思えばしっとりした民謡をじっくりと聴かせたりなど、当意即妙の話術と唄で客席を沸かせる神谷さん。その多芸ぶりには、笑わされたり感動させられたりの連続でしたが、後から伺うと実はご本人、「根は恥ずかしがり屋」で、その手のMCはもともと得意なわけではないのだとか。「でも、お客さんが喜ぶのが楽しくてね。戯れ唄を嫌いな人はいないでしょ?(笑) 私もお客さんと一緒に楽しみたいから、いつでも本気で取り組んでいる」のだそうです。

ちなみにこの店のモットーは「飛び入り大歓迎、リクエストには何でも応える」で、神谷さんたちのレパートリーは「数えたことはないけど1000曲以上はあるはず。もちろん歌詞はどの曲も最後まで全部覚えているよ、ステージに立つんだから当然さ」とのこと(!)。やっぱりプロの民謡歌手はスゴイ!と、今更ながら驚かされてしまいました。

ところが実はこの店、スゴイのは唄者だけではなかったのです。「唄者もプロなら客もプロ」というべきか、飛び入りするお客さんの唄三線がまた上手いのに加えて、フロアでカチャーシーする人たちの手つき腰つきも、これまたハンパなくカッコいい。

どの方も、日常生活の中でごく自然に民謡と親しんでいる気配が伝わってきて、自分の不慣れなカチャーシーが恥ずかしくなってしまうほど。なのに、いつのまにか周囲の勢いに飲み込まれ、気づけば立ち上がって一緒に踊って楽しんでいる自分がいる……おお、これこそまさにコザ・マジック! 民謡好きを自認する人だったら、コザの四つ辻(クロス・ロード)はぜひ一度足を運ぶべき聖地と、神谷さんの唄三線で踊り狂いつつ、しみじみ感じた午前2時だったのでありました。

■島唄スナック「花ぬ島」
 沖縄県沖縄市宮里1-15-11
 098-938-2959
 営業時間:21:00〜翌4:00(盛り上がるのは24:00以降)
 定休日:月曜
 ライブチャージ:なし
 ドリンク:1000円〜

さらにもう一軒行くなら…… 【民謡スナック・真喜志とみ子】

コザ十字路近辺には、「花ぬ島」の他にも楽しい民謡酒場が何軒もあります。その中でもう一軒というなら、ぜひおすすめしたいのがコザ高校通りの民謡スナック「真喜志とみ子」。沖縄芝居のベテラン女優・真喜志とみ子さんが経営するお店ですが、レギュラーで嘉手苅林次さん(故・嘉手苅林昌さんの御子息)が出演しており、「島唄の神様」と呼ばれた父譲りの枯れた渋い唄声を楽しめるのです。こちらも「花ぬ島」同様、地元のお客さんが中心なので、ウチナーンチュのパワーを、身をもって実感することができますよ。

■民謡スナック「真喜志とみ子」
 沖縄県沖縄市照屋1-44-1
 098-938-5994
 営業時間:21:00〜翌3:00(盛り上がるのは24:00以降)
 定休日:水曜