「新製品ニュース いいはずコレ!」で花酒を紹介しましたが、どうゆうふうに花酒がつくられているのかぜひ知りたくなり、与那国島在住のPasha人・喜屋武ナオミさんに3つの酒造所の取材をお願いしました。島で生活する人ならではの視点で綴られた今回の記事、ほんわかとした温かな想いが伝わってきます。なおプレゼントもあります。お楽しみに。

泡盛の甘い香り漂う、与那国・祖内。

日本最西端の地、与那国島。与那国島に転勤になって、早1年半。私の住む祖納(そない)は、赤瓦の家並みが数残る古い集落です。ここには酒造所が3つもあり、いつも泡盛の甘い香りが漂っています。与那国島は八重山諸島の中でも孤立した位置にあり、独自の文化や生活様式が発達した地域。個性的で魅力あふれる島、訪れるものを虜にしてしまう不思議な島。そして、そんな個性的な島のみ造られている「花酒」とは、いったいどんなお酒なのでしょう?与那国在住の喜屋武ナオミがレポートします。

花酒とは泡盛の蒸留行程で最初に出てくるアルコール度数の高い泡盛のこと。最初にでてくる酒なので「ハナサキ(最初という意味)」という名前になったといわれています。与那国では「ハナダキ」または「ハナダギ」と呼ばれています。泡盛の製造工程自体は他の地域と変わりませんが、与那国では蒸留時に最初に出てくるアルコール度数70度前後の強い酒を集め、その後出てくる酒を別のタンクに集めます。昔から与那国では初留(しゅりゅう)の酒である花酒を区別して取り分け、他の泡盛とは用途を別にして使用していました。花酒はおもに冠婚葬祭に使われるお酒ですが、島民にとってさまざまな意味合いを持っています。結婚式の際には、二人が酌み交わす三三九度の酒として使われ、他の人が飲むことはないそうです。また、葬儀の際にも、天寿を全うした方の葬儀のみ振る舞われる酒です。また、花酒は薬としての役割もありました。医療設備のない時代、発熱や傷の処置など万能薬として大切に使われていたそうです。まさしくこの島にとって花酒は「特別」な酒なのです。こういった歴史的背景や儀礼的な使用の習慣が認められ、アルコール度数60度の花酒は与那国でのみ製造する事が認められたのです。

「孝行者の造るフルーティーな花酒」入波平酒造株式会社

いよいよ待ちに待った取材当日!酒造所が3カ所もある祖納集落に住みながら、酒造所を訪ねるのは初めて!住んでるいと照れくさくてなかなか行けないんですよね〜。今回は、取材という大義名分を掲げて、いざ出発で〜す!取材した週は全国的な寒波。与那国でもこの冬一番の寒さを記録しました。

入波平酒造所は国泉泡盛から分家独立した会社で、3つの酒造所の中で一番新しい会社。代表銘柄である「舞富名(まいふな)」は平成生まれのブランドです。与那国で最新設備をもつ酒造工場で、会社設立時に回転ドラム式の製麹機とタンク式蒸留機を採用。また、最初に花酒古酒(クース)を世に送り出したことで知られ、その味の良さには定評があります。3メーカーの中で最も甘みが強く、フルーティーな薫りが特徴といわれています。

酒造所は集落内のほぼ中央にあり、少し高台に位置しています。趣きのある2階建ての建物。その上部に大きく書かれた「まいふな」の文字。通りから入ったところにある酒造所ですが、この文字がすごく目立つので、工場見学に来る方も迷わずに探せそう!今回、お話を聞かせてくださったのは社長であり杜氏でもある入波平浩伸さん。優しい笑顔と情熱的な眼差しが印象的な社長さん。第一声「どこかで見たことあるね〜!○○の奥さんか〜!」狭い与那国。面は割れています(笑)早速、お話を聞かせてもらいました。
「僕は小さい頃から、おじいさんの酒造りを見て育ったんだよね」
入波平酒造自体は新しい会社ですが、実は入波平家は与那国でも酒造りで名の知れた一族。戦後、祖父である信三氏が入波平酒店をスタートさせ、積極的に酒造りをしてきました。国泉泡盛の初代社長も祖父の信三氏。幼いころから薪割りの手伝いをし、自然と酒造りに親しんできたそうです。浩伸さんが立派な杜氏さんになったのは、お爺様やお父様の背中を見て育ってきたからなんですね〜。
酒造所内は様々な工夫が見られます。2階に米蔵を置き、麹付けした米を一階のタンクに直接落とせるような仕組みで移動作業をカット。蒸留機を使う事で火を熾す作業を省き、また安定した味を管理する事も可能になりました。無駄を省き、味へのこだわりを追求するという浩伸さんのスタンスが酒造所のすべてに垣間見ることができます。

「ちょっと待ってね!」話をしながらも、何度も中座し作業工程をチェックしに行く浩伸さん。与那国一の最新設備を導入していると聞いていたので、ボタン一つで造られているのかと思っていた私としては意外でした!
機械を導入することで労働作業自体は簡略化されるのですが、米の蒸し具合や麹の付き加減などの微調整はやはり人の仕事なのだそうです。人間の酒造りへの想いがあっての機械なんですね!また、すべてが機械化されている訳ではなく、瓶詰めやラベル貼りなどはすべて手作業で行なわれています。こちらはかなり地道な作業!ちなみにラベル貼りはすべての酒造所ともに手作業でした。

酒造所内を見学させて頂いた中で一番印象的だったのが、数日置いた「もろみ」の香りの良さでした。危うく「バナナ入りですか?」と聞きそうになるぐらいフルーティーな薫り!
浩伸さん曰く、「これがお米の一番良いにおい」なんだとか。「舞富名」のフルーティーな香りは、この「米の一番良いにおい」がしっかり残っているからなんですね!また花酒は古酒にしても、すごく美味しいんですって!自宅で寝かして、子供の成人式まで大切に保存しておくのもいいかも♪ちなみに「舞富名」は八重山方言で「おりこうさん・孝行者」という意味。味への追求は入波平家3代目の浩伸さんへもしっかり受継がれていました。じいさまの信三さんは浩伸さんを「まいふな」と思っているに違いないですね♪

■入波平酒造株式会社
沖縄県八重山郡与那国町字与那国144 
TEL.09808-7-2431 FAX.09808-7-4420